死刑確定

竹内力さんのカオルちゃんシリーズ、<ロシアより愛をこめて>で、アリョーシャを気に入ってしまった私。
アリョーシャ役をされた崎山凛さんの他の作品が観たい!と思いかりてきました、この「死刑確定」。

実はこの作品、観なくちゃなーと思いつつ、避けていたんです。
Ⅱ、Ⅲに小沢和義さんが出演されてるんですよね。だからそう思ってはいたんです。
でも、どうもこの作品はあまりにも内容が重そうで、耐えられるかどうか、と考えていました。

だけど、やっぱり崎山さんが観たい。しかもけっこう出番がありそうな感じ。
しばし悩みましたが、思い切ってかりることにしました。

そして拝見しました。思ったとおりの重さでした。いや、それ以上かもしれません。
テンポがよく、おもしろいといえばおもしろいんですが・・・。
何が凄かったって、山口祥行さんのキレッぷり。
あれはもうクレイジーとしか言いようがないです。ギョッとしました。
狂気の男、と言ったらいいんでしょうか。そんな感じでした。

野村祐人さんの目も、いっちゃってる感じ、よく出てました。
野村さんは、よくTVで刑事役をされてて、真面目なイメージが強いんですが、
こういう役をされると、本当にアブナイ感じがよく出てます。

この作品の力さんは、焦燥感、悲壮感が漂っていましたね。
悲しみにくれる力さんの表情に、思わずもらい泣きをしてしまいそうになりました。

そして、崎山さんですが・・・。
やられました。また好きな役者さんが増えてしまいました。いや、いいことなんですが(笑)
今回刑事役をされてたんですが、やはり目つきが鋭いです。素敵です。声も渋くていいんですよ。

実際、アリョーシャの時は金髪だし、鳩が豆鉄砲食らったみたいな表情が多かったし、声も作ってたしで、
いまひとつ、素の崎山さんがわからなかったんですが、これでよっくわかりました。

しかし、今回のラストは、ちょっと辛かったです・・・。

それにしてもこの作品、現実にありえそうなのが恐ろしいです。
若者の薬物乱用、警察の犯罪関与、どちらも現実的です。
それだけに、重くのしかかる感じがするんでしょうね。

あってはいけないことがまかり通る、今の世の中。
法で裁けぬなら自分が・・・、とそういう主人公の気持ちもわかります。
ましてや自分の愛する人が、それに関連して命を落としていたとしたらなおさらに。
でも、これは本当にはあってはならないこと、だと思います。
たしかに、力さんが悪党を始末するシーンでは、胸がすくのも事実です、が・・・。
この作品で描かれるような悪は、絶対法で裁き、然るべき処罰を与えなくてはならのではないかと、
そう思わずにはいられません。

怒りと哀しみをおぼえる作品でしたが、力さんと同じ交番勤務の警官役の諏訪太郎さん。
諏訪さんの、同僚をちゃん付けで呼び、すべてに達観したようないい意味で力の抜けた警官に、
少し、救われた気がします。

これは、本当に今の日本に巣食う闇を描いている作品だと思います。
やりきれない気持ちになるかもしれませんが、目を背けてはいけないことかもしれません。
私は無力で、何かできるとは思いませんが、せめて、現実に背を向けないでいたいです。
もし、まだご覧になってない方、是非、一度手にとってみて下さい。